賢一はろくでもない人生を生きてきて、皮肉なことに楽しかった記憶はヴィクシィの中で起こった事ばかりでした。
友達だと思える人間に出会ったのも、誰かを好きになったのもヴィクシィに参加してからでした。
自分は嘘つきだから他人に信頼されないのをわかっていても、嘘つきをやめられなくて互いに仲間だと認めあえる人間に会えなかったのは賢一の心残りのうちの一つでしょうね。
ろくでもない人生の中でも笑ってはしゃいで恋して夢見ることができた人生は素晴らしくはなかったけれどクソみたいな人生でもありませんでした。
欲を言うなら誰も死なねえうちに全員脱出してメイリアさんの料理を囲んで皆で「怖かったな」とか「助かってよかったな」とか言いながら少しずつ嘘つきをやめたかったんだけどな

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